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闇の子供たち
2009/02/27
00:41/Fri




この映画は、衝撃の問題作ですっ!
昨年の夏、8月2日に渋谷シネマライズで単館公開されて、あっという間に口コミやネット情報で衝撃的内容がセンセーショナルな話題を呼び、上映館を増やしての拡大公開になりました。
結局、東京都内では確か10月17日頃まで上映館を増やして公開されていました。ボクは、その上映終了する一週間前に、有楽町のスバル座 で見ました。




昨年の公開当時から、かなり物議を呼んだ作品でしたね。
何せ、テーマが 子供の臓器売買と、幼児売春による性的虐待もからんできて、かなりハードなものでしたから。
映画の舞台が、タイのバンコクでしたので、当初はバンコク国際映画祭に出品予定だったようですが、突然の上映中止になったようです。




バンコク側から、著しく国のイメージを低下させる゛国辱映画゛のように取られたのかもしれませんね。
あたかも、今現在もタイで少女売春や、臓器売買が横行しているように描かれていたら、たまったものじゃないですからね。
どこまで、フィクションで、ノンフクションンかの線引きは難しいところだと思いますよ。




この映画は、原作は梁石日の同名小説です。
これが全くのデタラメなら、この小説そのものが問題となりますので、この映画で描かれていることが、必ずしもすべてが゛嘘゛とは限らないと思います。
ただ、我々だって、そんな現実を見てきたわけではありませんからね。あくまでも、映画としてのフィクションとして捉えた方が無難かな、という気がします。




監督・脚本は、阪本順治。映画主題歌に桑田佳祐が、この映画の為に書き下ろした現代東京奇譚。出演は、江口洋介、宮崎あおい、妻夫木聡、豊原功補、鈴木砂羽、佐藤浩市。上演時間 2時間18分。
阪本順治といえば、「顔」や、「新・仁義なき戦い」等で、これまでアウトローを描いた映画が多かったですが、今回は社会の暗部を描くという、阪本順治にしては珍しく、社会派問題作を撮りました。




ストーリーは、日本の新聞社のバンコク支局に駐在する新聞記者、南部浩行(江口洋介)が、タイで子供の臓器売買や幼児売春が行なわれていると知り、その調査をしていくうちに、自らも事件に巻き込まれていくというものです。
新作ですので、いつものようにあまり詳しくは紹介しません。
しかし、子供の臓器売買といっても、脳死の子供の臓器移植ではなく、子供を誘拐して、健康な子供を手術台に乗せて、臓器を抉り取るという衝撃的なものでした。




この子供の臓器売買というテーマは、9年前の2000年にも日本テレビ「リミット~もしも、わが子が・・」で、野沢尚の脚本でドラマ化されています。出演は、安田成美、陣内孝則、田中美佐子、佐藤浩市、妻夫木聡子らです。
このドラマもかなり見応えのある作品で、ビデオ化されてはいるものの、未だDVD化されていないのは残念ですね。
ドラマで描かれていたのは、日本で幼児誘拐事件が起き、海外に連れ去られて臓器移植というもので、この映画のように幼児売春までは取上げられてはいませんでした。
そのドラマと、今回の映画では佐藤浩市と妻夫木聡がダブって出演しています。どちらも、そのドラマの中では、血も涙もない犯人グループ役でした。




特に佐藤浩市は、その「リミット」というドラマの中では、日本側の闇ブローカーの主犯格の犯人役で出演していました。
今回の映画では一転して立場が全く違う、臓器移植しないと半年しか余命がない子供を持つ父親役で出演しています。
江口とその同僚の豊原、それに同行したボランティアの宮崎あおいらの突然の訪問により、自分の息子が助かるためには、一人の健康なタイの子供が殺される事実を知りますが・・・
それでも、わが子を助けたいと願う父親です。
悪魔に魂を売った・・という点では、その「リミット」というドラマと、この映画の佐藤浩市の役は共通していますね。




一方で、宮崎あおい演じるボランティアは若さ故の暴走をします。
一人救えたとしても、また別の子供が誘拐されて手術台に乗せられるだけだ・・
主人公の南部を演じる江口は、熱くなり過ぎる恵子(宮崎あおい)に、そう言ってたしなめますが、恵子は、そんな南部の忠告も無視して、体を張って、要済みとなって、ゴミのように捨てられた命を助けます。




年端もいかない、少年、少女たちに避妊具無しで、腰を振るヘンタイ大人たち。
HIVに感染して、黒いビニールにゴミとして棄てられていく子供たちの命。
そんな目を背けたくなるような描写がいくつかあって、ある意味でこれは現実の出来事ではなく、フィクションの世界であってほしい、と願いたくなります。


ただ、現実の問題で海外で子供を買っている外国人もいるという事実は、やはり存在するのです。
淋しくて、淋しくて、心に死化粧
ラストのエンドロールに流れる、桑田佳祐の主題歌の現代東京奇譚のこの部分は、まさに江口洋介演じる主人公の心の闇を示唆していて、すごく意味深です!
決してヒロイズムには酔わない。そんな阪本順治ならではの作家性が出ていますね。


銃撃戦の果てに、待っている衝撃のラストとは!?
いろいろと考えさせる、人間の欲望と切なる願望の間にある悪魔の囁きを描いた問題作です!
ガツン!とくる衝撃的な映画も、たまには、いいものです。
ラストの桑田佳祐の主題歌が、哀しい余韻を残して、心に染みます。

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