最近の記事
桜田門外ノ変
2011/04/19
22:30/Tue


1860年3月3日、大老・井伊直弼、暗殺
幕末の波に呑み込まれた男たち
世の中を変えなければ、この国は滅びる


今回は幕末に起きた桜田門外ノ変の映画化作品ですっ!
江戸時代末期の幕末に桜田門外で起きた大老・井伊直弼の暗殺ですが、今回の映画ではそれをクライマックスではなく、その後もしっかりと描かれていました。






アメリカのペリーの黒船が来航した幕末の、開国か攘夷で揺れる中で、世の中を変えようとした男たちの熱い幕末時代劇です。
今までは、桜田門外事変をクライマックスに置いた作品が多かったですが、今回の作品は実行浪士たちのその後が描かれていて、実に興味深く見れました。
果たして、彼らの行った大老・井伊直弼の暗殺は是か非か!?
この作品は、史実に忠実な描かれ方なので、歴史好きな方や興味を持たれた方は下の追記を読む、からご覧下さい。
桜田門外ノ変
2010年10月19日東映系公開
監督 - 佐藤純彌
プロデューサー - 三上靖彦、川崎隆、鈴木義久
企画 - 橘川栄作
原作 - 吉村昭
脚本 - 江良至、佐藤純彌
撮影 - 川上皓市
音楽 - 長岡成貢
主題歌 alan 『悲しみは雪に眠る』
配給 - 東映
CAST
関鉄之介・・・大沢たかお
関ふさ・・・・・長谷川京子
金子孫二郎・・柄本明
高橋多一郎・・生瀬勝久
岡部三十郎・・渡辺裕之
関誠一郎・・・加藤清史郎
いの・・・・・中村ゆり
佐藤鉄三郎・・渡部豪太
高橋荘左衛門・須賀健太
桜岡源次衛門・本田博太郎
与一・・・・・温水洋一
安藤龍介・・・北村有起哉
稲田重蔵・・・田中要次
有村次左衛門・坂東巳之助
西郷吉之助・・永澤俊矢
松平春嶽・・・池内博之
武田耕雲斎・・榎木孝明
野村常之介・・西村雅彦
井伊直弼・・・伊武雅刀
徳川斉昭・・・北大路欣也
2時間17分 ビスタサイズ
●予告編です
今から150年前の安政7(1860)年、2月18日の早朝。
水戸藩士の関鉄太郎は、妻・ふさと息子・誠一郎に別れを告げ、水戸藩を出奔しました。
鉄太郎は水戸藩士の有志たちと共に大老・井伊直弼を討つべき、その盟約を結び、江戸へと旅立ちました。
江戸に入ると、鉄之助は愛人のいの宅に身を寄せます。つかの間の穏やかなひと時でしたが、鉄之助はある計画の実行の為に、いのとも今生の別れをしなくてはなりません。






江戸の浅草で、鉄之助は同士たちと計画を打ち合わせ、実行日は3月3日と決まりました。
そこで井伊直弼襲撃の立案者である金子孫次郎から、鉄之助は襲撃の実行指揮者に任命されました。
井伊直弼襲撃に集まった同士は、水戸脱藩藩士17名と薩摩藩士の有村次左衛門の十八名でした。
関鉄次郎の思惑では、その井伊直弼襲撃の後に薩摩から三百名の軍が挙兵して、それに合流する予定でいます。
やがて襲撃当日になり、鉄之助は実行指揮者ですから直接の襲撃に加わらず、近くで戦況を見る役割でした。






江戸の浅草と同士たちと計画を打ち合わせ、実行日は3月3日と決まりました。
その当日、江戸城に登城する前の彦根藩屋敷で井伊直弼は家臣に水戸脱藩藩士に不穏な動きありと警護を増やすよう進言しますが、井伊は今に始まったことではないと、全く意に介していませんでした。
そして、江戸に季節外れの雪が降る3月3日。
まずは襲撃者の一人が直訴状を井伊直弼の行列の前に出て、いきなり護衛を斬りつけ襲撃は開始されました。






かくして、斬り合いは乱戦となり、薩摩藩士の有村次左衛門が遂に井伊直弼の首を挙げました。
井伊直弼の護衛をすべて殺した襲撃隊も無傷ではありませんでした。
その場で討ち死した者もいれば、重症を負った隊士たちは桜田門から逃れていきます。
井伊直弼の首を挙げた有村次左衛門も、かなりの手傷を負い、井伊直弼の首をある屋敷の前に置いて、もうこれ以上歩けないと判断して、その場で自刃してしまいます。
その他の重傷者も、逃げれないと思い次々とその場で自刃してしまいます。






井伊大老襲撃の成功を見届けた鉄之助は、その後京都に向かい、薩摩軍を待ちました。
ところが、薩摩では挙兵慎重論が持ち上がり、結局は鉄之助が待っている三百名の薩摩軍はやってきませんでした。
そして、水戸藩の脱藩浪士たちが井伊直弼を襲撃して首を挙げたことを知った前・水戸藩主の徳川斉昭は激怒し、襲撃者たちに過酷なる厳命を下したのでした。
"大老を暗殺するとは幕府に弓引く仕業じゃ、事件に関わった者は、藩の名誉にかけて必ず捕らえ、大罪に処せ"
斉昭の命により、次々と捕らえられ斬首刑にされる同士たちの中で、鉄之助は単身落ちのびていくのでした・・・






ストーリーの紹介は以上です。
今までの桜田門外ノ変を描いた作品は、その殆どがクライマックスを井伊直弼暗殺のシーンを持ってきてたように思えます。
ところが、この映画では、その一番の見せ場シーンは序盤の開始から38分ぐらいで見せてしまいます。
それからは、井伊直弼暗殺実行犯たちの逃亡劇になります。
これまで、桜田門ノ変のその後どうなったかを知らなかっただけに、すごく興味深く面白く見れました。
この映画の殺陣は、ちゃんと血しぶきが出て、雪が血に染まっていくなど、リアリズムのある迫力のあるものでした。






ただ、井伊直弼襲撃の一番の要因となると思われる、井伊直弼が弾圧した安政の大獄が、あまり描かれていないのですよ。
当然、その安政の大獄で処刑された吉田松陰も全く出てきません。
それが井伊直弼が恨まれる最大の遺恨になっている筈なのに・・・
だから、水戸藩士が何故そこまでして井伊直弼を暗殺しなくてはならなかったか、この映画では、その理由が少し希薄なような感じを受けました。
大老を殺して、国の政治を変える。
これだけでは、ちよっと理解しがたいものがあります。
本来の倒す相手は、徳川幕府であり、大老一人殺したところで何も変わらないような気がします。






それと、井伊直弼を襲撃した実行犯たちは、事件後はっきりとした"大罪人"として斬首刑に処せられるんですね。
あの赤穂浪士の討ち入りとは、えらい処遇が違いますね。全くの好対照です。
赤穂浪士の下された処分は武士の面目を保った切腹でした。
赤穂浪士だって、暗殺には違いはないじゃないですか。
赤穂浪士の場合は、主君の仇討ちということで情状酌量の余地があり、"武士の鑑"の美談として何百年も語り継がれたのでしょうか。
今回の桜田門外の事件は、赤穂浪士のように別に水戸藩が取り潰されたわけでもないから、井伊直弼襲撃者には周りからは、同情されたなかったのでしょうね。
ちなみに、この映画の主役である関鉄之助は、歴史上実在した人物です。






実行犯の水戸脱藩浪士たちは、赤穂浪士のような大義名分がないだけに、言ってみればこれは政治テロ以外の何物でもない、ですからね。
主人公の関鉄之助の言葉で、"俺たちのやったことは間違っているのか"という台詞がありましたが・・・
やっぱり間違っている、と思えて仕方ないです。
暗殺というテロ的な武力で政治を変えようとしても、それで成功を成し遂げたのは、歴史上余り例がないですからね。
これは昭和初期に起きた、5.15事件や2.26事件にも言えることですからね。






この作品の終わりでは、倒幕のすべてはこの桜田門から始まった、というような締めくくりでした。
この作品の時代背景に攘夷か開国か揺れる国政がありましたが、それが井伊直弼暗殺と直接的に結びついているのかは少し疑問でした。
それはあくまでも、幕末の時代背景に過ぎなかったでしょう。
この桜田門外の変についても、いろいろな諸説があるでしようね。
この映画で、今まで知らなかったその後の知れたは、すごく有意義なものでしたけどね。


今までは、桜田門外ノ変は井伊直弼暗殺のシーンで終わっていただけに、その後の展開が気になって見入ってしまう魅力がありました。
歴史好き、特に幕末が好きな方は見ておきたい作品でしょう。
幕末一番人気キャラの坂本龍馬は出てきませんけどね。

ランキングはここをクリック!
xx HOME xx
トラックバックURL
→http://chikinai.blog95.fc2.com/tb.php/219-a86dba12
→http://chikinai.blog95.fc2.com/tb.php/219-a86dba12
コメントの投稿
xx HOME xx