深夜食堂 第六話 カツ丼
2009年12月29日23:29
B級グルメドラマ

B級グルメの王者といったら、やっぱりカツ丼でしょ!
上の写真の深夜食堂のカツ丼は、決して完璧に美しいカツ丼とは言えません。
でも、それでいいんです。
カツ丼はあくまでも、B級グルメ。A級である必要性がありません。
見た目よりも、味で勝負。そして、何といっても、そのボリューム感で他の丼物を圧倒しています。
今回も、カツ丼が取り持つ恋の話です。
もう、放送が終了していますので、最後のネタバレまでいきます!
今回は食べた気じゃない・・見ていない方も下の追記を読む、から見たような気になってください。






第六話 カツ丼 放送日 東京TBS 11月18日
大阪MBS 11月13日
※ 既に全10話放送終了
●六話ストーリー
深夜食堂に珍しく、親子連れの客が来ていました。母親と10歳ぐらいの女の子の親子です。
その女の子の方は、今どきの子にしては珍しく、ほっけ定食を注文し、゛ほっけは北海道の羅臼のが一番よ゛と、お子チャマのくせに、魚にはなかなか詳しいようです。
そこに、もう一人常連であるプロボクサーのかっちゃんが店を訪れていました。
その場に居合わせた、フリーカメラマンの小道はボクシングの写真を撮らせてほしいと、かっちゃんに頼み、かっちゃんもそれを快く承諾しました。
かっちゃんが来る日は、決まって試合の後です。試合に勝った日は決まって、ここでカツ丼を食べることを日課にしています
かっちゃんの目の前にドンと置かれたカツ丼。かっちゃんは、その一切れをしけしげと見つめ、ガブリと一口。
うんめぇ~っ!とは言ってないけど、そんな顔をしています。
かっちゃんは、実に旨そうにカツ丼にかぶりつきました。
その様子を見て、かっちゃんの目にあざがあることに興味を持った少女は゛おじさんって、何してる人?って尋ねてきます。
おじさん、ボクサーなんだ。
それってK-1みたいなもの。
その少女は、格闘技好きでしたが、ボクシングには余り馴染みがないようでした。
それよりも、かっちゃんはその横にいたその少女の母親にすっかり、一目惚れしていました
しばらくして、小道の写真展の案内状を持って、かっちゃんが深夜食堂の営業前に現れました。
マスターはかっちゃんが、この間のアケミに惚れたことを見越して、いろいろと彼女のことを話します。
アケミは夫と死別して、一人でいることや、かっちゃんの試合をテレビで見て深夜食堂に娘と一緒にカツ丼食べに来たことなどをマスターから聞かされます。
かっちゃんは、旦那は今いない、ということを知り、俄然トレーニングに張り切り出します。
そして、その親子にカツ丼をおごる機会に恵まれ、試合に招待することにします。
その時、ついでに自分の携帯番号をアケミに渡し、アケミの番号も教えてもらいます。
早朝にかっちゃんはまた深夜食堂にやってきて、次の試合の意気込みをマスターに語ります。
俺、噛ませ犬みたいに言われているけど、次の試合に賭けてるんだ。
今度の試合勝ったら、リングの上からアケミさんにプロポーズするんだ。
ロッキーみたいにさ・・
かっちゃんは、ボクシングに打ち込む為に仕事もやめて、ランクを上げてボクシング食っていける決意を固めたようです。
しかし、アケミは不安でした。アケミもスナックの仕事が終わってから、深夜食堂に来てその心境をマスターにこぼしていました。
そんな迷っているアケミに、マスターはほんの少しだけ背中を押しました。
行ってやりなよ、かっちゃんの試合にさ。
そこに、カウンターの隅にいた常連のカタギリ(オダギリジョー)がポツリと一句・・
世の中は二人が良ければ、吉野川。
そして、遂に運命のかっちゃんの試合当日になりました。アケミ親子は試合前のかっちゃんを激励します。
激励といっても、アケミはかっちゃんに何も言えません。娘のマユが゛勝って、カツ丼食べようね゛とかっちゃんと拳をあわせます。
試合が始まり、前半はかっちやんも善戦していましたが、ラウンドが進むにつれて、力の差が目立ち始め、ゴールデンルーキーの鮫島に対して防戦一方になりました。
やがて、鮫島の決定的な一打が、かっちゃんの顔面を襲い・・・かっちゃんはそのまま起き上がることができず、KO負けになりました。
試合後のアケミ親子に慰められたかっちゃんは、恥も外聞もなく、大声上げて泣き崩れてしまいました。
その直後、深夜食堂ではかっちゃんのお疲れ会が開かれました。
かっちゃんは気持ちが固まり、引退を決意します。
マユの、゛かっちゃんは負けてないよ。アタシとママはわかっている゛の言葉に照れくさそうに、腫れ上がった顔面を冷たい麦酒で冷やします。
マユのカツ丼食べたいのリクエストで、かっちゃんは三人分のカツ丼をマスターにオーダーしますが・・・
ドンと目の前に出てきたのは、カツ丼でなく、親子丼でした。
あいにく、カツが売り切れちゃってね。
別にとんかつは出来合いのものではなく、自分とこで揚げているくせして、マスターの粋な計らいです。
もう、この三人は親子同然で、その後、すぐに本物の親子になりました。
第六話 カツ丼 終了
今回のオチは勝負を賭けた試合に負けてカツ丼じゃなくなった代わりに、親子丼になったというものでしたね。
これはマスターがわざとやったことでしょうね。
ボクサーとしては終わってしまったけれど、もっと大事なもの得ることができた、という比喩でしょうか。
でも、このドラマで出てくる深夜食堂の常連たちは皆、優しいですね。
スポーツの世界ほど、勝つと負けるでは周囲の反応も天と地ほど違うと言われています。
テレビのドキュメント番組でも、敗者にスポットを当てたものって少ないですよね。
カツ丼といえば、石川県の金沢市片町にある、ぶんぷくという店が想い出深いです。高校時代、金沢で映画を見に行ったときは、決まってその店のカツ丼を食べました。
その店は、丼が木の器で、ツユが決して甘すぎず、ピリッとペッパーが効いたカツが、何とも絶妙で大好きでした。
東京に来て二十年以上経ちますが、その店を越えるカツ丼には、未だに出会っていないですね。
そりゃ、二千円以上も出せば、その金沢の店を凌ぐのカツ丼の店は東京にはいくらでもあるはずです。
でも、カツ丼はそんな高級な料理であってはならない、と思います。手を伸ばせば届くような、ちょっとした贅沢でいいんです。
価格がリーズナブルは絶対条件です!
それは、ビックコミックオリジナルで連載の漫画「味いちもんめ」でも、そんなカツ丼のエピソードがありましたね。
そのコミックでは、最高の食材を使ったからといって、それが最高のカツ丼になるとは限らない、というのでした。想い出の味は、どんな高級な食材でもかなわない、ということでしょう。
この深夜食堂のカツ丼は、どこにでもある当たり前の普通に旨いカツ丼です。
今は、こんなドン底不況のですが、どんな苦しい時期だって、いつかは巻き返せる時が来る、と信じたいですね。
カツ丼は、そんな沈んだ気分を奮い立たせ、心を和ませてくれる丼の王者のような気がします。
年明けは織田裕二主演の「アマルフィ 女神の報酬」をアップ予定です。皆様、よいお年を。
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