最近の記事
真田幸村の謀略
油断めさるな!死人に寝首をかかれる例えあり!
今、歴女ブームだとかで、にわかに女性の間で日本の歴史ブームのようです。
その一番人気かどうか分かりませんが、武将人気ランキング上位に入るのが、この真田左衛門佐(さえもんのすけ)幸村です。
まあ、甲冑のカッコよさから言えば、多分伊達政宗が一番人気のような気がしますね。
この映画やっとDVDリリースで再発売されました。今まで、ビデオではありましたが、DVD になったのはつい最近になってからです。
これも、゛歴女ブーム゛の恩恵でしょうか。真田幸村は、ゲームの方でも人気キャラのようですね。
旧作ですので、最後のネタバレがありますので、ご了承の上で下の追記を読む、からお進み下さい。






1979年9月1日公開 東映系公開 製作 東映京都
監督・脚本:中島貞夫
脚本:笠原和夫、松本功、田中陽造
撮影:赤塚滋
音楽:佐藤勝
2時間28分 シネマスコープ
●予告編
★CAST
真田左衛門佐幸村・・・松方弘樹
猿飛佐助・・・・・・・・・・・あおい輝彦
霧隠才蔵・・・・・・・・・・・寺田農
三好清海入道・・・・・・・秋野暢子
三好伊三入道・・・・・・・真田広之
穴山小助・・・・・・・・・・・火野正平
由利鎌之助・・・・・・・・・岩尾正隆
筧十蔵・・・・・・・・・・・・・森田健作
海野六郎・・・・・・・・・・・ガッツ石松
根津甚八・・・・・・・・・・・岡本富士太
望月六郎・・・・・・・・・・・野口貴史
真田安房守昌幸・・・・・・片岡千恵蔵
真田伊豆守信幸・・・・・・梅宮辰夫
真田綾・・・・・・・・・・・・・・萩尾みどり
戸沢白雲斉・・・・・・・・・浜村純
服部半蔵・・・・・・・・・・・曽根晴美
豊臣秀頼・・・・・・・・・・・小倉一郎
淀君・・・・・・・・・・・・・・・高峰三枝子
大野治長・・・・・・・・・・・戸浦六宏
片桐且元・・・・・・・・・・・梅津栄
織田有楽斉・・・・・・・・・野口元夫
木村重成・・・・・・・・・・・白井滋郎
後藤又兵衛基次・・・・・成田三樹夫
塙団右衛門・・・・・・・・・遠藤征慈
加藤清正・・・・・・・・・・・丹波哲郎
徳川家康・・・・・・・・・・・萬屋錦之介






●ストーリー
関ヶ原の戦いに勝利して、制夷大将軍になった徳川家康。
更なる標的を大坂城にいる秀吉の遺児・秀頼を自分の生きているうちに滅ぼすために動き始めていました。
深夜、その家康の寝所に忍び込んだ真田幸村配下の霧隠才蔵は、家康の暗殺に成功・・したかに見えましたが・・・
明くる朝、その家康の首を改めているところに、家康の輿を乗せた軍勢が現れて、才蔵が取った首は家康の影武者でした。
すぐに家康配下の服部半蔵の忍び軍団に囲まれて苦戦する才蔵たちに、一人の男が助けに入ります。






その男は、猿飛佐助でした。
才蔵の薦めで、佐助も才蔵の主・真田幸村の紀州、九度山の館に同行することになります。
その頃、九度山の真田館では、幸村の父・真田安房守(あわのかみ)昌幸が、近いうちに家康は秀頼のいる大坂城を攻めるであろうと予想していました。
そんな矢先に昌幸は、猫の爪に仕込まされた毒で腕をひっかかれます。昌幸はすぐさま息子・幸村に腕を切り落とさせますが、毒は既に体に回ってしまっていました。
今、一度・・大坂に登り家康と決戦してみたかった、と幸村に言い残し昌幸は息絶えます。昌幸を謀殺したのは、家康配下の服部半蔵の手によるものでした。






その頃、大坂城では、家康が成人した秀頼と京の二条城での対面を求めていました。
淀君らは猛反対しますが、加藤清正の我命にかけても秀頼公の命を守るという、清正の熱い言葉にほだされて、家康・秀頼の体面は実現します。
しかし、その家康・秀頼の二条城の対面が終えた後に、服部半蔵の配下の手にかかって加藤清正も暗殺されてしまいます。
それから、昌幸が亡くなってしばらくして、幸村の兄・真田伊豆守信之が九度山に訪ねてきていました。
信之は父が亡くなった今こそ、自分と一緒に駿府にいる家康に会ってはみないかと幸村に薦めてきました。






しかし、幸村は父・昌幸を謀殺した家康に頭を下げる気など毛頭なく・・・
兄上、私は義の一字を貫いて生きとうございます。と兄の申し出を却下してしまいます。
う~ん、幸村も直江兼続に負けず劣らずに、義に生きる武将ですね。
幸村はその直後に父・昌幸のともらい合戦のような家康暗殺を新たに家臣に引き入れた真田十勇士たちと、策を練り試みますが、寸前のところで家康に逃げられてしまいます。
その戦いの最中、追っ手の服部半蔵の手の者によって幸村は右目に矢を受けて負傷します。
まるで独眼流真田幸村、になります。
家康は、このことをキッカケにして大坂を攻める口実にして、かくして大阪の陣は火蓋を切ります。
幸村一行も、すぐさま大坂城に入城し、家康との最後の決戦に挑んでいきます。
果たして、幸村は宿願の家康の首を取ることができるのか!?






●三好清海入道は女だったという新解釈
今回の映画では、真田十勇士の一人で知られる三好清海入道は実は女だったという仮説で描いています。
とはいっても、真田十勇士そのものが明治時代になって立川文庫で作られた架空の人物たちなので、設定などいくらでも変えられます。
三好清海を女に設定したことで、幸村との恋のロマンス的な展開をしています。ただ、女性と設定したことで、最後の家康との決戦には甲冑を着ての参戦はしていません。
最後、その三好清海入道だけが、唯一真田十勇士の中で生死不明になっています。
尚、この映画では幸村の嫡男・真田大助幸昌は登場しません。
●猿飛佐助は宇宙人!?
何だか、これもよく判らない設定です。
別に猿飛佐助が宇宙船に乗ってやってくるという設定でもないです。映画の中でも、佐助が自らが草の者、と名乗るシーンもありますし・・・
ところが冒頭と最後では、赤い隕石を猿飛佐助が操ったり、突然現れては姿を消していきます。成り行きで幸村の仲間に一応入っただけで、幸村と心中する気などありません。
大阪の冬の陣では、真田丸で佐助は前田軍を幻惑させるだけで、夏の陣では猿飛佐助は、たいした活躍もないまま終わります。
今回の映画の猿飛佐助は謎の人物、という設定のようですね。
●夏の陣での真田VS伊達の激突なし
夏の陣における真田VS伊達隊の道明寺の戦いは、残念ながら描かれていません。そもそも伊達政宗自体、登場していません。
家康側の武将で登場するのは、直属のしょぼい本多正純ぐらいで、大阪の陣で東軍に加わる武将は一切登場しないのですから。
尺の問題か、それともギャラの問題か、はたまた脚本書いた人が必要なしと見たのか、それはわかりませんけどね。
ただ、夏の陣における、真田、日本一の兵と語り草となった最後の天王寺の決戦を省略する形となっているので、そこらヘンは物足りなさを感じてしまうかもしれません。
史実にある真田幸村の夏の陣の決戦を出してしまうと、最後の突撃が描けないという部分がありますけどね。
●最後の決戦は大坂城が落城してから
ラストのネタバレになりますが、最後は大坂城が落城してから、幸村の影武者数騎が凱旋している家康を襲撃します。
真田十勇士 が幸村の影武者となって
我こそは真田幸村なりぃ!家康、見参! と叫びながら家康に向かっていくクライマックスこそ、この映画の一番の見せ場ですからね。
しかし、豊臣が滅んでから、家康の首を取ったところで意味ないんじゃないのぉ~
家康演じている錦之介の台詞にもあるように、わしを殺したところで、徳川の天下はゆるぎはせぬ!は、全くその通りです。
豊臣が滅んでしまえば、対抗する巨大勢力がなくなるのですから、老齢の家康の存在そのものが不要になります。
この大阪の陣の時期に、伊達政宗が虎視眈々と天下を狙っていたという説もあったようですが、、伊達の勢力だけで対抗する気などなかったでしょうからね。
だから、この映画はある意味、ツッコミどころ満載な時代劇です。
公開当時は、「柳生一族の陰謀」、「赤穂城断絶」に続く第三弾の、東映が時代劇の復興を賭けた期待の大作だったのですが、内容そのものはまるでB級映画のような感じになってしまいましたね。
それでも、終盤で真田幸村の影武者が家康軍を襲い、最後に幸村が家康の首を刎ねるシーンは、胸がすくような爽快感があります。 個人的には、徳川家康はあまり好きではありませんから・・・
そういえば、この映画で真田幸村を演じている松方弘樹は、NHK大河「天地人」で、この映画で幸村の仇敵・家康を今演じているところですね。
そのNHK大河の城田優では、幸村役は余りにも若すぎますねぇ~
この作品、史実を思い切り曲げて、何でも在り時代劇にしてるから、歴女の方が見たら不満が残る映画かもしれません。
それでも、松方弘樹の真田幸村はカッコいい!ですよ。もう30年前ですから、松方弘樹も若くて、男盛りの頃でした。
そういえば、何年か前のテレビ東京の10時間の正月ドラマでも松方弘樹は真田幸村を演じていました。
歴代の真田幸村を演じた役者といえば、真っ先にNHK「真田太平記」の草刈正雄がイメージとして浮かんできますが、最悪だったのが「真田風雲録」の千秋実でしたね。
幸村好きな方は、あれは見ない方がいい。きっとガッカリだよっ!ですから・・・
ちなみにその「真田風雲録」に猿飛佐助で出演しているのが、今回の映画で家康を演じた、若き日の萬屋錦之介です。
この「真田幸村の謀略」、作品としては完全な失敗作に終わっているけれど、真田幸村の異色作とみれば、それなりに楽しめる娯楽作品です。
※最近、更新が停滞気味ですが、次回は早めにアップする予定です。今回は、写真のデータを作るのに少し時間をかけ過ぎてしまいました。
次回は「おっぱいバレー」を予定しています。
ランキングはこちらをクリック!
この作品は、当時は時代劇復興を東映としては期待していましたが、コケなかったものの期待したほどの大ヒットには至りませんでしたから。
やはり彼もこの映画では悪役なのでしょうか?
最後は真田幸村の影武者となって、本物幸村役の松方と併走して家康を老い、服部半蔵と刺し違えて果てます。
その馬に立ちながら、半蔵と対決するアクションシーンは吹き替えでしょうけどね。
やはり日本にはいい人材そしてそれらの人材を育成する環境と土壌があるのですね。
それが、日本映画が元気になってきた原因のひとつかもしれない、ですね。
→http://chikinai.blog95.fc2.com/tb.php/107-42792a85