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タンポポ 伝説のグルメ映画
2009/01/14
06:11/Wed


生きることは食べること!
伝説のグルメムービー!
やはり監督・伊丹十三は偉大だった!


今回は一転して、昔の日本映画の紹介です。この映画は1985年の11月23日に東宝洋画系で公開されてますが、当時は興行的にも失敗し、評価も決して高くありませんでした。


この記事も、2011年10月10日に一部のキャブ写真拡大表示にしました。続きは下の追記を読む、からどうぞ!
スーパーの女
2009/05/10
00:33/Sun




今、改めて伊丹十三の映画を見直してみると、実に面白い!
この映画が公開されたのは、今から13年前の1996年です。
今では、スーパーのみならず様々なところからの食品偽装が発覚して、廃業に追い込まれた老舗もあるほどですが、それが表立っていなかった13年前に既にそのテーマに着目していたのですね。
伊丹十三、先見の目あり、です。
それだけに、伊丹氏の自殺は余りにも惜しまれる事件で、彼が生きれいればもっと面白い映画を作って我々を楽しませてくれたでしょうね。




●作品データ1996年6月15日、東宝系公開 配給収入15億円の大ヒット
監督・脚本 伊丹十三、音楽 本多俊之、出演 宮本信子、津川雅彦、伊東四郎、高橋長英、あき竹城、柳沢慎吾、小堺一機、金田龍之介、原日出子、岡本信人、松本明子 2時間7分 ビスタサイズ
※ ちなみに本作は伊丹十三監督作品が遺した映画作品、10作品のうち、9番目の映画になります。




この映画は、いわゆるスーパー大好き主婦による、潰れかけのスーパー再生物語です!
何かと食品偽装が取り立たされていますが、そんなことは遠い昔から行なわれてきたことです。
この映画の中の潰れかけの正直屋のスーパーなんて、店のオーナーの幼なじみの井上花子が副店長として就任するまでは、それはひどいもんでした。
何せ、前日売れ残ったトンカツを二度揚げすれば、衛生上問題はないだろうと、店長自らで店に並べようとするのです。
売れ残ったとんかつでカツ丼弁当にすれば、誰もわからない、と。




うへぇ~、ただでさえ揚げ物は時間が経つと油が回ってまずくなるのに、そんなカツ丼弁当は、半額でも買いたくないゾ!
お客様第一に考える副店長・花子(宮本信子)は、そんな行為は論外で、何のためらいもなく、そのトンカツをゴミとして捨ててしまいます。
すべてはお客様のために!
ダメスーパー正直屋の副店長として就任した花子は、店の再建より、まずお客様に喜んでもらえることを目指します。




買い物途中で、卵を割ってしまった客に弁償させることなく、新しい卵を持っていくようにしたり、逆にペットを店内に同伴する客(野際陽子)に、退店するよう毅然とした態度に出ます。
確かに、こんなお客様第一に考えてくれる副店長がいたら、店の評判は上がるでしょうね。
また、この作品は映画ならではの誇張もあります。
チラシ公告に間違って卵1パック28円と間違った公告を打ってしまい・・・客は雪崩打って、卵目指して突進していきます。




これについては、当時の映画評でも叩かれていましたね。
そんな卵一パックごときで主婦がスーパーに大行列するわけない、と。
でも、それは13年前だから言えたことですね。誰もここまで景気が落ち込んで大不況になるなんて、夢にも思ってなかったですからね。
2009年の今なら、卵一パックがたった28円で売られていたなら、開店前の大行列も十分有りえますよ。
28円という価格は現実には、有り得ないですけどね・・・




輸入牛のええやつは、和牛として売れ!
正直屋を買収しよと企んでいるライバル大型スーパー安売り大魔王のオーナー(伊東四郎)は、そう従業員に指示します。
最近起きている肉の食品偽装は、伊丹十三によって既に起きているあろうと見破られていましたね。
ただ、伊丹十三も食品偽装も見抜けても、景気がここまでひどくなるとは予想してたでしょうか。
今は閉める店はあっても、新規オープンする店はホント少なくなりましたからね。




この映画出てくる食品偽装は、何も肉だけでなく、おにぎりの具に使われているたらこも花子が提案した、主婦たちのリサーチ会によって、食品偽装が発覚します。
でも、そんなことは我々消費者もわかっていることだと思います。本物のたらこを使ったおにぎりが、百円程度で売れるわけがないですからね。
本物の食材を使えば当然価格は上がります。
例えば、本物の食材を使ったスーパーで一個200円以上するおにぎりが果たして、売れるでしょか?




我々がスーパーを利用する最大の理由は、街の身近にあって何といっても安いこと!
本物を求めたいなら、ワンランク上のデパートの食品売り場に行けばいい。(まあ、そこでも食品偽装はないわけでもないでしょうが・・)
でも、食通で有名だった伊丹監督には、まがいものを売っているのは、例えスーパーといえども、実に耐え難いこと、だったのでしょうね。
一方で、前日売れ残った生ものをパックし直す、リパックだけは許しがたい行為ですね。




消費者もバカではない、ですからね。
今は、とかく食品偽装で騒がれている時代ですから、少しでも前日残った食材の再利用なんてことをしたら、いずれ発覚するんだから、それこそ店の命取りになりますからね。
経営者の立場からしたら、腐ってもいないものをただ売れ残ったということだけで処分するのはもつたいない、というのもわかりますけどね。
平成大不況の真っ只中の今はどこも生き残りを賭けて、価格競争が起こっていますけど、食の安全だけは守ってもらいたいものです。




この映画の後半は、ライバル店による精肉、鮮魚の職人たちの引き抜き、在庫の高級肉の盗難によるトラックによるカーチェイスが待ってます。
後半の映画の焦点は、正直屋はライバル安売り大魔王に勝てるのか、です。
後半部分は現実離れしていますが、映画的な膨らみを持たせてます。
有り得ないことをやってしまうのが、映画でありドラマですからね。
伊丹監督の作品は、前期の作品は数々の映画賞を獲得したのに対し、後期の作品は評論家からは徹底無視された形になっていました。




でも、映画はやはりエンターティメントなんですから、そんな識者から評価なんか高くなくてもいいような気がします。
当時の伊丹監督は、次第に自分の作品の評価が下がってくのを気にしてたようですね。
その作品の行き詰まりが自殺の遠因とする説がありますが、実際にはどうなんでしょう?
伊丹監督の突然の訃報を聞いて、その頃まだ元気だった大島渚が、゛遺作がマルタイの女でいいのか!゛と激高気味に語っていたのを、今でも鮮明に憶えています。




伊丹十三氏の自殺は、写真週刊誌の不倫記事に対しての゛死をもって潔白を証明する゛の遺書が本人の直筆ではなく、ワープロ打ちだったため、いろいろなな憶測が流れました。
宗教団体に謀殺されたのではなか、とか・・・
警察の検視もなされたでしょうが、今となっては、死の真相は゛本人のみぞ知る゛結果になってしまいました。
ただ、伊丹氏が亡くなった今でも、彼の作品は生きています。


タンポポを百回見て、ラーメン店を開いた外国人とか伊丹映画に影響された人々はたくさんいます。
この「スーパーの女」も、土壇場での一発逆転再生物語として、エンターティメントとして捉えたなら、すごい面白い作品です!
映画はいい作品である前に、面白い作品であってほしい。
そんな願いも込めて、思うようには、伊丹監督の魅力を伝えきるほどのことは書けませんが・・・
これからも折をみて、伊丹映画を取上げていきたいと思います。
伊丹監督が遺した映画は偉大です!



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